フランスワイナリー巡り Château Canon(シャトー・カノン)訪問記

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こんにちは。

いやあやっと2度目のコロナから体調も戻ってきて普通の生活に戻ってきました。

皆さんもまたコロナが流行っているようですので、体には十分お気を付けください。

さて、結婚30周年記念旅行(コロナ禍の影響で本当は32周年記念)として夫婦でフランスを旅行してきました。

とても楽しい旅行でしたし、目的はほぼワイナリー巡りでした。

大小のワイナリー、トータル17軒を巡らせてもらい、そのワイナリーの特徴など色んな事を勉強させて貰いました。

と言うわけで今回は5番目に訪問した「Château Canon(シャトー・カノン)」編です。








シャトー・カノン訪問記(畑編)


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「Château Canon」と言えばサンテミリオンの格付け、2012年と2022年にプルミエ・グラン・クリュ・クラッセB(Premiers Grands Crus Classes B)にランクされるワインです。

なのに価格的には前回のシャトー・ローザン・セグラと同様にそれほど高額ではない、購入しやすいボルドー格付けワインでよく知られています。

それもそのはず、こちらのシャトーも『CHANEL(シャネル)』がオーナーとなっているシャトーです。
まあこちらにはあまりシャネルの面影が無いようにしている感じで、どこにもシャネルは見当たりません。
こちらも2013ヴィンテージから2020までは毎年徳岡さんのプリムール試飲会でおなじみのシャトーでした。
そう言った縁もあって今回こちらのシャトーも訪問依頼をしたわけです。
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こちらもシャトー・マルゴーの様に象徴的なシャトーは敷地内に無く、なんとなく大きな規模のワイナリー、と言った趣。
レセプションに訪問予約している旨を伝えて見学開始です。

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さて先ずは道路を挟んで向かいにある畑でお話を伺います。

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シャトー自体はサンテミリオンの中心部にほど近いところにあるため、畑に出ると町の中心部にある教会の塔がすぐ見えています。
畑の方はここは小石がゴロゴロというよりは上の写真のように下草がきれいに生えていてどちらかというと柔らかい感じに見えてしまいます。

シャトーの歴史は、1730年にジャック・カノン氏(フランスの王が許可を出した海賊、ワンピースの「王下七武海」みたいなもんか?)が起こしたシャトーででもここには10年しかいなかったそう。

1996年にシャネルが経営をするようになるまでは、かなりにオーナーの手に渡っていったそうです。

それでも名前が変わらないのも珍しいことですね。

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シャトーカノンが経営するようになってからまず始めたのは、ほぼ50%という半分ものブドウ樹のコンディションが良くなったのを植え替え等で立て直したこと。

所持している畑は24ha、これの内今ではメルロー75%、カベフラが25%の割合になっていますが、シャネルが購入時、カベフラの場所はカベルネソーヴィニヨンが植えられていたそう。

地質的にはカベソーよりもカベフラの方が適性があるということでこれを全て植え替えて今の分布になったそうです。

土壌は粘土石灰質、表面は粘土っぽい感じですが、掘っていくとそこから石灰岩の石がゴロゴロ出てくるんだそう。

そこからミネラル成分の石灰を供給されていくみたいです。

以前はこの24haの畑でとれたブドウから選別し、弾かれたものでセカンドラベルの“クロワ・カノン(Croix Canon)”を作っていたようですが、最近ではファーストラベル用のブドウがしっかりと全てファーストにふさわしくなったので、新たに10haの格付け外の畑を取得し、そこでとれたブドウを使ってセカンドのクロワ・カノンを作るようになったそうで、今では畑もファーストとセカンドで違うようですね。

このシャトーも今ではビオ系になり、2024年からはシャトーローザンセグラと同様、「ビオロジック」の認証を受けるそうです。

なので防虫方策もビオ系のワイナリー同様、ブドウ樹に「コンフィジョンシクセル(?)」というカプセルがぶら下がっていて、これはメスの蝶のホルモンを出していて、オスは寄ってくるけどメスは寄れなくなって結果卵を産み付けられることがなくなり、その青虫などの虫害がなくなるというもののようです。

耕作にしてもトラクターをほとんど用いず、ブルゴーニュの特急畑で見たような馬を使った耕作に変えているそう。

理由はブルゴーニュと同様、トラクターは土をその重量で固くしてしまうが、馬は柔らかいままでいられること、耕作中に出た馬の糞でさえ肥料になることで自然環境に良いことがその理由。

そのようなビオ的な工夫がされている畑での話を終えた後、次は醸造所の方へ向かいます。



シャトー・カノン訪問記(醸造所編)


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さて、畑でのお話を伺った後は醸造所の方へと向かいます。
写真上の門をくぐり、醸造棟の方へ行くのですが、この上の写真奥からの風景がこのシャトーのエチケットのデザインになっているところのようです。

この門の先には、この醸造棟があり、これがエチケットにあるシャトーのデザインになっています。

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この醸造所は1760年からのオリジナルで、唯一くわえられたのが、デザインにある塔の場所。

この石灰岩で作られた建物は、すべてこの辺りから掘り出された石を使っているそうで、最近ではボルドーやメドックでの石造りの建物もサンテミリオンから運ばれているものだそうです。

では中に入ってみましょう。

醸造所で大きな工事が行われているため、写真奥に見える樽熟倉庫は見学ができなかったのでこちらでお話を聞きます。

カノンでは全てがステンレスタンクでの発酵。

ステンレスタンクの方が衛生管理と温度管理が容易なことがその大きな目的だそう。

このステンレスタンクは内部が2重構造になっていて、外殻と内殻の間に水(またはお湯)を通すことによってタンク全体的に温度調整をしっかりと行えるようにしているという。

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全て手摘みで収穫されたブドウはこのタンク上部のフロアに運ばれ、そこで選果と破砕を行いこのタンクにポンプを使わず重力で入れられます。

そして発酵に関してはそのパーセル(畑の区画)毎に発行を行い(パーセルごとにすることで発酵時間を計算しやすくなるため)きちんとタンクごとにベストな発酵期間をコントロールしているそう。
パーセル毎に発酵はするけども、それはベストな発酵をするためであって、最終的にはすべてアッサンブラージュされて均一なワインにはするそうです。

ここも味わいに厚みではなく綺麗さを出す為のステンレスタンクの使用の様ですね。
ちなみにこの写真にあるタンク達の下の階にも発酵槽があり、この写真の所で主発酵下の階でマロラクティック発酵を行うようです。

なので確認はしませんでしたが、フリーランのみでワインの移行を行っているのかもしれません。

発酵を終えたワインは、樽熟成庫に樽に入れられて行いますが、カノンでは全てフレンチオーク使用、ファーストは75%の新樽率、セカンドには20%の新樽率だそうです。

生産量は90,000ボトル/年、セカンドは50,000ボトル/年ということです。

カノンはとても清潔感あふれる醸造所ですね、この辺はCHANELならではなのかもしれませんが、これが品質の向上につながっているのなら良いのかもしれませんね。

そしてこの後、瓶熟倉庫(いわゆるオールドヴィンテージ倉庫)に行きました。

ここはその清潔感とかは無縁、逆に言えばワインのゆりかごとして最適な環境のままにしているという感じのようです。

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ボトルの大きさもかなり種類があり、マグナムもかなり保管されています。

これでも1年に1回大掛かりに清掃をしているんだそうです。

ちなみにここはエアコン等の空調設備は全く無く、自然のままの倉庫になっているそう。

そして、こちらは第二次世界大戦中ドイツの進行もなかったのか、ここの最古のカノンは1869年だそうです。

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他にも100年ほど前のヴィンテージも結構あったり、終戦年、1945のものもありました。

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そんなオールドヴィンテージですが、1869は2本しかないため、飲むというよりはシャトーの歴史資料としてこれからも残していく予定なのだそう。

なかなか見られないお宝を見せていただいた後は上に出て最後にデギュスタシオン(試飲)です。







シャトー・カノン訪問記(試飲編)


と言う事で最後にデギュスタシオンです。

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こちらも試飲室はなかなか落ち着いた雰囲気、この時に訪問していたのが私たちだけだからかもしれませんが。

なんかミネラルウォーターもおしゃれなんですが。

今回の試飲はファーストラベルの2017です。

これ、ちょうどよくうちにも今セラーで眠っているので、今後どのくらいで飲み頃を迎えるのか、それを確認することもできるな―なんて思ってしまいました。

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2017は2018年にボルドープリムール試飲会で飲んでいるので、その時の記憶を引っ張り出して比較。
あの頃と比べるとやや落ち着きが出ているものの、それでもまだまだ飲み頃に入ったばかり、それもこれからどんどん良くなる感じしかない状態で、粘土質で育ったメルローの柔らかさがきちんとあるので今飲んで楽しめるけど、これからどんどん良くなってくるであろうことが感じられて開けるのがもったいないくらい。

でもバランス的には今からこれだけ整った感があるのはすごいですね。

飲み頃を想像するに、私の好み(ピークダウンする直前位が好き)を考えると、孫が成人する頃ようやくそんな所に来ているかな?といったくらいで、それまで飲めないのは私が健康で長生きするしかないな、といった感じ。

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2017はプリムールの試飲よりは整ってきていて良いけど、まだまだ若過ぎ、本当にこれから先10~15年以上経ってからが楽しみなテイストでしたね。
樽などの植物的なニュアンスは上品に抑えられ、黒系果実、特にプラムやプルーンのようなテイストがはっきりしていて長熟にも耐えられそうだし、プリムールで買っておいて良かったなー、って感じながらテイスティングしていました。
セカンドもよさそうでしたが、話を聞いているとセカンド専用の畑で作っているようだし、味わいからして大分違ってきてしまうのかもしれないな、と思うと違うワインとして楽しむのがよさそうな気がします。

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試飲中畑の地質がどういう風になっていて、その中を根がどういう感じに行っているのか、図を見せてくれながら説明してくれました。

この一番下の根の所は根が通れないとのことでしたが、そこまで長く石灰の層が続いているので見事に強くでもミネラリーなテイストができるんだなあとちょっと地質にも思いを馳せることができました。

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でもローザンセグラの時もそうでしたが、以前飲んだことのある同じワインをその後の年月をかけて時差で飲むのはとても良い経験になりますね。
とても良い訪問になりました、お礼を言って次のシャトーに移動します。




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今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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